佐賀県多久市にそっと佇むカフェ「Coffee Roast HONO」には、深い想いが静かに流れています。店主・江口浩二さん（57歳）と妻・美千代さん（53歳）が大切に育んできたのは、「コーヒー」という香りの向こうにある、家族の約束。
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人と車に向き合ってきた日々から、新たな夢へ
長年、自動車販売会社で働いてきた浩二さん。仕事にも家族にも真摯に向き合い、妻・美千代さんとの間に、長男の渓太さん、長女の穂花さんを授かりました。家族が落ち着いてきた頃、ふと芽生えたのが「コーヒー豆の焙煎」という趣味。そして、心の奥から湧きあがった「いずれコーヒーのお店を開いてみたい」という願いでした。
その夢を話したある日、娘・穂花さんが気にかけ語りかけてくれたといいます。
「コーヒー屋さんだけじゃダメじゃない？それだけじゃない“何をするか”考えんば。」
時間のなかで紡がれた、対話と決意
その後、娘さんは病気のために療養生活に入ることになりました。ご家族はそっと寄り添いながら、穏やかな日々のなかで言葉を重ねこられたそうです。そして、たとえ目に見えなくなっても、その想いは静かに、確かに残り続けました。
娘さんの言葉を胸に。「ケーキも焼ける父に」
「コーヒーだけではなく、“好きだったケーキ”も自分の手で届けたい」。その想いを胸に、浩二さんは職を離れ、パティシエ専門学校へ。1年間学び直し、菓子作りの基礎から丁寧に向き合いました。そして、ご自宅のガレージを改装し、2024年12月、娘さんの誕生日に合わせて「Coffee Roast HONO」を開店。焼きたてのケーキと香ばしいコーヒーの香りに包まれた空間は、ご家族の歩みそのものです。
つながる場所、やさしく灯る店
お店には、娘さんを知るご友人や地域の方が自然と訪れます。店内には会話と笑顔が交差し、珈琲の香りと共に、ご家族の想いが柔らかく広がっています。
店舗情報
